ゴッホ 種まく人

ブログ

《ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》ハイライト作品紹介(3)《種まく人》

《ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》(東京都美術館)から♪♪♪

昨日ご紹介した《黄色い家》につづいて本日ご紹介するのは《種まく人》です。

ゴッホ 種まく人

種まく人
1888年 油彩/カンヴァス 64.0 x 80.5 cm
クレーラー=ミュラー美術館

なんて黄色い絵なんでしょう!
遠景の太陽も空も刈リ遺された麦畑も真っ黄色です。

もちろん手前の耕された畑の色は黄色い大地と掘り返された後の土塊の紫色が混ざり合っていますが、とにかく第一印象は「まぶしいばかりの黄色い絵!」ではありませんか?

ゴッホはなぜこんな黄色い絵を描いたのでしょう・・・?

彼はミレーを尊敬していたので、この絵を描く時にゴッホがミレーの《種まく人》を念頭に置いていたことは容易に想像できます。

でも、ミレーの《種まく人》とはぜんぜん違います。

ミレーの《種まく人》

ボストン美術館所蔵

山梨県立美術館所蔵

いかがですか?
ミレーの《種まく人》は夕暮れなのか、早朝なのか、とにかく暗いですよね!

そして、さきほどの「ゴッホはなぜこんな絵を描いたの?」の疑問に対する答はゴッホ自身が弟のテオに宛てた手紙の中で説明してくれています。助かりますねえ🙏

「種まく人を描くのは僕のかねてからの希望だ。でも長い間の望みが実現するとは限らない。だから不安だ。それにしても、ミレーとレルミットのあとにまだ残されている仕事があるとすれば、それは色彩で大きなカンヴァスに描かれた種まく人だ」
(レルミットというのはミレーと同じように農民を描いた写実主義の画家です)

1882 収穫者への支払い

レオン・レルミット 《収穫者への支払い》1882年

ゴッホはその後のテオ宛ての手紙で、「ミレーの《種まく人》は灰色で色がない」とも言っています。

ミレーが色を抑えて描いた《種まく人》という厳粛な主題を、ゴッホは色彩で表現することに挑戦したようですね。

ただし、ゴッホが造形的な課題だけで《種まく人》を描いたのではなく、《種まく人》はゴッホにとって宗教的な理想がつまった主題だと言われています。

【広告】

 

 

ピックアップ記事

  1. 第60回を記念して、プロトマニア『絵画鑑賞白熱講座』の全60テーマをご紹介します…
  2. ゴッホ展(上野の森美術館)のコンセプトから《ピンクの桃の木(モーヴの思い出)》を…

関連記事

  1. ブログ

    《ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》ハイライト作品紹介(1)《夜のプロヴァンスの田舎道》…

    《ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》(東京都美術館)から♪…

  2. ブログ

    ゴッホ展(上野の森美術館)のコンセプトから《ピンクの桃の木(モーヴの思い出)》を連想したこと。

    ただいま東京、上野の森美術館でゴッホ展が開催中です。(2019年10月…

  3. ブログ

    ヴィクトリア朝の画家・ウォーターハウス のオフィーリア3点と代表作10選

    ほとんどの美術好きの人がはまってしまう画家、19世紀イギリス、ヴィクト…

  4. ブログ

    《ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》ハイライト作品紹介(6)《サン=レミの療養院の庭》

    《ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》(東京都美術館)から♪…

  5. ブログ

    SOMPO美術館 《ゴッホと静物画》展から ゴッホの《靴》について

    東京、西新宿のSOMPO美術館で開催中の《ゴッホと静物画》展が好評のよ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

スポンサーリンク

スポンサーリンク

  1. 講座開催のお知らせ

    第116回 『絵画鑑賞白熱講座』 新シリーズ・日本洋画の流れと俊英たち  明治の…
  2. ゴッホ 種まく人

    ブログ

    《ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》ハイライト作品紹介(3)《種まく…
  3. ブログ

    《ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》ハイライト作品紹介(6)《サン=…
  4. ブログ

    アートミステリー小説 私的おすすめ 《楽園のカンヴァス》 原田マハ著
  5. 講座開催のお知らせ

    第113回 『絵画鑑賞白熱講座』 近代ロシア絵画(2)リアリズムから印象主義へ …
PAGE TOP