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《ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》ハイライト作品紹介(5)《石膏像のある静物》

《ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》(東京都美術館)から♪♪♪

《レストランの内部》につづいてご紹介するのは《石膏像のある静物》です。

《石膏像のある静物》 

1887年後半 油彩/カンヴァス 55 x 46 cm 

クレラー=ミュラー美術館

27歳で画家になることを決心したゴッホはベルギーの王立美術学校素描コースに通い始めますが3ヶ月でやめてしまいます。

その後オランダに戻り、エッテンの両親の家で独習を始めますが実家にもいたたまれなくなり、義理の従兄弟でハーグ派の主要画家だったアントン・マウフェを頼ってハーグに住みます。ハーグでは3ヶ月ほどマウフェの指導を受けますが、石膏像でのデッサンを勧めるマウフェに反発したり、子連れの娼婦シーンと同棲をはじめるなどしてハーグにも居られなくなります。

その後、牧師の父親の赴任先であるニューネンにもどりますが、父親の死など紆余曲折を経て、1886年1月32歳の時にアントワープの王立美術学校に登録します。

アントン・マウフェ 《浜辺の朝の乗馬》 

1876年 油彩/カンヴァス 45 x 70 cm  アムステルダム国立美術館

そのわずか1ヶ月後、ゴッホは突然パリにやってきて弟テオと共同生活を始めます。オランダ・ベルギー時代のゴッホの絵画修業を見て分かる通り、彼はひとところに3ヶ月以上所属することができない人だったようです。

ゴッホがパリにやって来たのは、人体のデッサンを学ぶためでした。そのため当時の著名画家フェルナン・コルモンの画塾に通い始めますが、ここも例外とはならず3ヶ月後にはレベルの低さを理由に辞めてしまっています。

フェルナン・コルモン 《ハーレムの嫉妬》

1874年 油彩/カンヴァス 160 x 220 cm ブザンソン美術考古学博物館 フランス

もっとも、コルモンのアトリエではゴーギャンとともにクロワゾニズムの始祖的なそんざいエミール・ベルナールやロートレックと出会って親交を結ぶようになったので、収穫は大きかったと言えますね。

ロートレック 《エミール・ベルナールの肖像》

1885年 油彩/カンヴァス 54.0 x 44.5 cm テート美術館 イギリス

コルモンのアトリエを辞めた後、ゴッホは自宅でデッサンをするために小さな石膏像をいくつも購入します。ハーグでは石膏デッサンを勧めるマウフェに対して生きたモデルを使ったデッサンをしたいと反発して彼のもとを去ったのはなんだったんでしょうね・・・

それはさておき、その小さな石膏像と当時読んで感銘を受けた2冊の本、ゴンクール兄弟の《ジェルミニー・ラセルトゥ》とモーパッサンの《ベラミ》を描いたこの静物画には当時のゴッホの生活と心情が吐露されているようです。

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