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ルノワール 《アルジェリア風のパリの女たち》

今日ご紹介するルノワールの絵はこれです。


《アルジェリア風のパリの女たち》
1872年 油彩/カンヴァス 150 x 130 cm 国立西洋美術館

上野の国立西洋美術館所蔵の作品ですよ!
日本にある絵ですから、ご覧になった方も多いと思います。

1872年作ということは1874年の第一回印象派展よりも前に描かれた作品です。

ということは、ルノワールがモネたちと戸外制作に励みながらも、片方でサロン入選を目指して過去の巨匠たちからもいろいろ吸収しようとしていた比較的初期の時代の作品ということになります。ちなみに、この絵は1872年のサロンで落選しています。

では、この絵は誰に影響されて描かれたと思いますか?

答えはロマン主義の巨匠、ドラクロワです。

ルノワールが絶賛していたドラクロワの名作《アルジェの女たち》から直接のインスピレーションを受けています。


ドラクロワ  《アルジェの女たち》
1834年 油彩/カンヴァス 180 x 229 cm
ルーヴル美術館

ルノワールはこの作品の2年前にやはり当時流行ったオリエンタリズム(東方趣味)の影響のある《オダリスク》を描いています。

ルノワール 《オダリスク》
1870年 油彩/カンヴァス 68.6 x 123.2 cm
ナショナル・ギャラリー、ワシントン

オダリスクはイスラム圏のハーレム(後宮)の女性たちのことですが、アングルのグランド・オダリスクが有名ですね。
ルノワールのオダリスクもアングルのグランド・オダリスクのポーズを踏襲しているようです。

アングル 《グランド・オダリスク》
1814年 油彩/カンヴァス 91 x 162 cm
ルーヴル美術館

ルノワールは、西洋美術館所蔵の《アルジェリア風のパリの女たち》では、ドラクロワの《アルジェの女たち》と同じく室内の柔らかい光の中に統一された色調の変化を追求していますが、ナショナル・ギャラリ−、ワシントン所蔵のオダリスクの方では光の効果よりは東方風の衣装の中のきらびやかな色彩同士の共鳴に関心が向いているようですね。

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