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《ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》ハイライト作品紹介(6)《サン=レミの療養院の庭》

《ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》(東京都美術館)から♪♪♪

《石膏像のある静物》に続いてご紹介するのは《サン=レミの療養院の庭》です。

サン=レミの療養院の庭
1889年5月 油彩/カンヴァス 91.5 x 72 cm
クレーラー=ミュラー美術館

1888年12月23日の夜、ゴッホはあの《耳切事件》を引き起こします。

翌朝《黄色い家》の自宅で瀕死の状態でいるところを発見され、アルル市立病院に担ぎ込まれました。耳の傷は癒え、翌年1月7日には退院し自宅に戻りますが、精神障害の発作に悩まされ2月から4月にかけて入退院を繰り返します。

この間、「危険なオランダ人画家」の存在に怯えたアルルの住民から警察署長に、彼を隔離するか家族が引き取るように求める嘆願書が提出されます。

1889年5月、ゴッホはアルルを去る決意をして、みずから郊外のサン=レミにある精神療養院にはいります。そして、約1年間をここで過ごすことになります。

療養院では病室以外の1室をアトリエとして使う許可を得て比較的自由に制作に励み、《アイリス》(J・ポール・ゲティ美術館)、《糸杉》(メトロポリタン美術館)、《星月夜》(ニューヨーク近代美術館)、《花咲くアーモンドの木の枝》(ゴッホ美術館)と今回の展覧会のハイライト《夜のプロヴァンスの田舎道》(クレーラー=ミュラー美術館)など傑作をものします。

  

  

標題の絵《サン=レミの療養院の庭》はゴッホが《サン=レミの療養院》に入院してほどなく描いたものです。季節は5月、療養院の庭にはバラやアイリスなどの花々が咲き誇っていました。

《耳切事件》の後の苦しい日々から逃れ、やっと落ち着いて絵を描く環境を手に入れたゴッホの作品ですが、皆さんは何を感じますか?

ゴッホが《アルルの病院の中庭》を描いた絵と比べてみるのも面白いかも知れません。

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