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《没後90年記念 岸田劉生展》始まる! 私的、鑑賞のポイント

8月31日から東京ステーションギャラリーで始まる《没後90年記念 岸田劉生展》の内覧会を見てきました!
没後90年記念というサブタイトルにふさわしい回顧展です。

回顧展というのは作品を年代順に並べたオーソドックスな展覧会のことですが、劉生の場合これが功を奏します。
ワンマンで唯我独尊、豪放磊落なイメージの劉生ですが、生真面目な側面もあり、ほとんどの絵に制作年月日を描き入れています。

ということは?・・・そうです。通常の回顧展よりもずっと厳密に、作品を制作年月日順に並べられるんですね!ですから、劉生の画風の変遷、彼の美的観点の移動といったことを大変きめ細かく見て行くことができます。
また、劉生は日記を始め画論や観劇評など様々な文章も多く残しています。ですから、この展覧会のカタログでは通常《年譜》とい形で掲載される画家の生涯が《岸田劉生生活活動記録》となっています。それだけ細かく劉生の生涯を追体験できるんですね。

ということで、この展覧会は岸田劉生という天才画家の歩んだ道を、彼の作風の変化とともに鑑賞し理解するのに最適なこの秋イチオシの展覧会です。
骨董品の爆買いとお茶屋遊びにすべてを注ぎ込んだ劉生の京都時代2年数ヶ月は果たして何だったのでしょう?
堕落?逃避?破綻?それとも必然?次へのステップの充電期間?皆さんは劉生の京都時代をどう位置づけますか?

この展覧会を見て、カタログの生活行動記録をひもときながら、その答えを求めて想像を巡らせてみるのも楽しそうですね!

道路と土手と塀
(切通之写生)
1915年11月5日
東京国立近代美術館

 

壺の上に林檎が載って在る
1916年11月3日
東京国立近代美術館

 

麗子肖像(麗子五歳之像)
1918年10月8日
東京国立近代美術館

 

麗子坐像
1919年8月23日
ポーラ美術館

 

麗子八歳洋装之図
1921年9月27日
個人蔵

 

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