東急東横線武蔵小杉駅から1分のところにある《ヨークカルチャースクール小杉》で開催される絵画鑑賞講座のご案内です。
11月21日(木)のテーマは、現在上野の国立西洋美術館で開催中の《ハプスブルク展》(2019年10月19日 ~2020年1月26日)にちなんで《ベラスケスとラス・メニーナスの謎》です。
なんでハプスブルク展にちなんで、スペインのベラスケスなの?と疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれませんね!
その前にハプスブルク家ってな〜んだ?と言われるとなかなかはっきり答えられませんよね。なんとなくオーストリア皇帝だったような・・・という感じじゃないですか?
確かに、国立西洋美術館の《ハプスブルク展》は日本・オーストリア友好150周年記念と銘打たれていますし、展示作品のメインレンダーもウィーン美術史美術館です。
一方、ベラスケスと言えばスペインの大巨匠。ウィーンと関係あったっけ?・・・という疑問がわいてきます。
うーん、でも《ハプスブルク展》のメイン・ヴィジュアルはベラスケスの《マルガリータ王女》です・・・

ディエゴ・ベラスケス
《青いドレスの王女マルガリータ・テレサ》
油彩/カンヴァス
1659年
マルガリータ王女はヴェラスケスが宮廷画家として仕えたスペイン国王フェリペ4世の娘。なのに、この絵はプラド美術館ではなくてウィーン美術史美術館蔵なんですね。
そして、この《青いドレスのマルガリータ王女》は彼女が8歳の時に描かれたものですが、ウィーン美術史美術館にはこの絵のほかにもヴェラスケスが描いたマルガリータ王女の肖像画があります。
まずは3歳のマルガリータ王女。
そして5歳のマルガリータ王女。
可愛いですね!
実はマルガリータ王女のこれらの肖像画はお見合い写真代わりに描かれて、スペイン国王からオーストリアとドイツを中心にその周辺を支配する神聖ローマ帝国皇帝たるハプスブルク家に送られていたんですね。だから、オーストリアのウィーン美術史美術館に残っているというわけなんです。
一方、スペインは実はオーストリアのハプスブルク家の分家でスペイン・ハプスブルク家なんです。
スペインハプスブルク家はカスティリア女王の地位を継承した狂女ファナ(ファナ・ラ・ロッカ)とハプスブルク家隆盛の基礎を築いたマクシミリアン1世の息子のフィリップ美公との間に生まれた長男カールに始まるのですが、彼はまず16歳でスペイン国王カルロス1世となったあとに、19歳で神聖ローマ皇帝の座につきカール5世になります。そして、戦いに明け暮れた40年におよぶ長い治世を経て56歳で修道院にはいるために自ら退位しますが、この時スペインは息子のフェリペ2世にオーストリアを含む神聖ローマ帝国は弟のフェルディナンド1世に継承させていますので、どちらが本家でどちらが分家かというのはなかなか判断しにくいところなんですね。
そんな訳で、この講座では《ハプスブルク展》からヴェラスケスを連想しました。
そして、ヴェラスケスの最高傑作で今なお解明されていない多くの謎を含む《ラス・メニーナス》の鑑賞をしながらヴェラスケスの絵を軸にスペイン・ハプスブルク家の栄光と悲しい結末にも想像の翼を広げたいと思います。

ヴェラスケス
ラス・メニーナス
318 x 276 cm 1656年
プラド美術館
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