今回は『モンパルナスの貴公子』と呼ばれたエコール・ド・パリを代表する画家モディリアーニを取り上げます。
個人的な話で恐縮ですが、モディリアーニは私が展覧会プロデューサーとして最も関わりのあった画家です。自分で企画した展覧会だけでなく、新聞社などのモディリアーニ展に企画協力させていただく機会も数多くありました。また、現在パリとジュネーヴのレステリー二・インスティテュートで準備が進んでいるモディリアーニのカタログ・レゾネ(全作品を掲載した図録)の編纂に協力する機会もありました。最も思い出深い画家のひとりです。
20世紀の初頭、《芸術の都パリ》を目指して世界中から集まってきた若き芸術家たち。彼らはボヘミアンな生活を送りながらも真摯な創作活動にいそしみました。人は彼らをエコール・ド・パリと呼びます。さまざまな伝説に彩られたエコール・ド・パリの画家たちの中でも、モディリアーニの人生は最も異彩を放っています。彼は《モンパルナスの貴公子》と呼ばれたほどの美男ぶりで女性と浮名を流す一方、貧困にあえぐ生活の中で酒に溺れ、若妻ジャンヌと幼い女の子をのこし、35歳の若さで亡くなります。残された身重のジャンヌは彼の死の2日後にアパルトマンの6階から投身自殺してしまいます。この時、彼女はわずか21歳でした。そしてモディリアーニの死後、なかば創造された伝説的生涯のストーリーも手伝って、彼の評価は急速に高まります。《呪われた画家》と呼ばれる由縁です。
この入門講座では、モディリアーニの作品を鑑賞しながら、伝説に彩られた画家の実像にも迫りたいと思います。
講座は2部構成です。
パート I
モディリアーニの代表作1点をVTS(Visual Thinking Strategies)というメソッドで鑑賞し、作品や画家に対する理解を深めます。VTSは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開発された手法で、1枚の絵をグループの対話を通して鑑賞します。最近では、ビジネスや敎育の分野でも大変注目されています。
パート II
モディリアーニの主要作品を年代順にたくさん(30点前後)ざっと見ます。その後、みなさんの印象に残った絵についていろいろ話し合いながら鑑賞を深めます。さらに当時の写真やエピソードをご紹介しつつ、みなさんの感想をヒントにして、モディリアーニ・ワールドへの扉を開きます。
対象者と魅力
▼こんな方におすすめです
・絵画鑑賞に興味がある方、始めたい方
・絵画やアートに興味がある方、誰かと語りたい方
・感性を育みたい方
・対話型鑑賞やVTSに興味がある方
▼こんなことが体験できます
・みんなで絵を見て対話するだけで、とても楽しい
・人の感想を聞くだけでも、今までにない刺激や発見がある
・絵画の魅力が理解できる、感じられる
・自分の感性、美意識に気づける
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