ユニークな「絵画鑑賞のオンライン講座」です。
今回の講座で取り上げるのは、《晩鐘》、《落ち穂拾い》などの名作で名高いジャン=フランソワ・ミレーです。この2点と《羊飼いの少女》を合わせて、オルセー美術館所蔵ミレーの三大名画と呼ぶこともあります。
私(ファシリテータの中尾)がミレーを知ったのはとても早く子供の頃です。たしか《偉人の話》というようなタイトルの本の中で、ワシントンやエジソンと並んでミレーが紹介されていました。
故郷で奨学金を得てパリに出てきたミレーが、みすぼらしい服装で都会では見られない木靴を履いていたので、美術学校のみんなから馬鹿にされる、でも、そんなことを乗り越えて立派な画家になるというお話でした。たぶん私が人生で最初に名前を覚えた巨匠だったと思います。
ミレーについては大正期に活躍した日本の画家中村彝(つね)が次の言葉を残しています。
「物には元来価値はない。たゞ見る人によって、物の価値はきまるのだ。平凡なものも天才には無上の価値となる。ミレーが現れるまで、人は百姓の生活があんんなに神々しいとは思はなかった」
名言ですね。人間と自然の崇高な関係を描いたミレーの世界を堪能しましょう!
講座は2部構成です。
まず、ミレーの代表作1点をVTS(Visual Thinking Strategies)というメソッドで鑑賞し、作品や画家に対する理解を深めます。VTSは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開発された手法で、1枚の絵をグループの対話を通して鑑賞します。最近では、ビジネスや敎育の分野でも大変注目されています。
次に、ミレーの初期から晩年まで、画風の変遷がわかる作品を20〜30点鑑賞します。当時の写真やエピソードをご紹介しつつ、みなさんの感想をヒントにして、ミレー・ワールドへの扉を開きます。
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