【はじめての対話型アート鑑賞】ラファエル前派入門
美しい詩と物語の世界〈ミレイ、ロセッティ、ハント〉

ジョン・エヴァレット・ミレイ
方舟への帰還
1851年 アシュモリアン美術館
昨年(2019年)春に三菱一号館美術館で開催された《ラファエル前派の軌跡展》、記憶に新しいですね!
東京MXテレビの美術番組《アート・ステージ 画家たちの美の饗宴》やBS日テレの《ぶらぶら美術・博物館》でも介番組が放映されました。
この展覧会を見たよという方も多いのではないでしょうか?
で、ラファエル前派とは?
19世紀ヴィクトリア朝のイギリス美術界は、ルネサンスの巨匠ラファエロ以来の美の基準を信奉し、形骸化した表現に固執するロイヤル・アカデミーが牛耳っていました。これに異を唱えたのが、当時まだロイヤル・アカデミー付属美術学校の学生だったミレイ、ロセッティ、ハントの3人です。彼らは、ラファル前派兄弟団を結成し、ラファエロ以前の画家たちの、素朴ながら精神性の高い表現への回帰をめざします。
ラファエロによって完成された油彩画の技術と見方を権威主義的に信奉するアカデミーに対する反発が契機となったんですね!
この入門講座では、3人の絵画に親しみながら、象徴主義の先駆としてのラファエル前派の革新と、彼らのモデルとなりミューズとなった女性たちをめぐる、複雑な人間模様についてもおしゃべりします。
講師(ファシリテーター)の中尾は展覧会プロデューサーとして駆け出しの頃にイギリスのオックスフォードにあるアシュモリアン美術館の全面協力で実現した《オックスフォードのラファエル前派》という展覧会の企画・オーガナイズに従事したことがあります。

《オックスフォードのラファエル前派展》のカタログ

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
ベアタ・ベアトリーチェ 1864-70年 テート・ブリテン
講座は2部構成です。まず、ラファエル前派の代表作1点をVTS(Visual Thinking Strategies)というメソッドで鑑賞し、作品や画家に対する理解を深めます。VTSは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開発された手法で、1枚の絵をグループの対話を通して鑑賞します。最近では、ビジネスや敎育の分野でも大変注目されています。
次に、ラファエル前派の初期から晩年まで、画風の変遷がわかる作品を20〜30点鑑賞します。当時のエピソードをご紹介しつつ、みなさんの感想をヒントにして、ラファエル前派の美しい詩と物語の世界を体験します。

ウィリアム・ホルマン・ハント
シャロットの女
1886-1905年 ウォズワース・アテネウム美術館
対象者と魅力
▼こんな方におすすめです!
・絵画鑑賞に興味がある方、始めたい方
・絵画やアートに興味がある方、誰かと語りたい方
・感性を育みたい方
・対話型鑑賞やVTSに興味がある方
▼こんなことが体験できます!
・みんなで絵を見て対話するだけで、とても楽しい
・絵画の魅力が理解できる、感じられる
・自分の感性、美意識に気づける
ファシリテータ・講師
中尾陽一(なかおよういち):展覧会プロデューサー
<経歴>
早稲田大学大学院修士課程修了(西洋美術史学専攻)
早稲田大学絵画会を創設し、在学中より白日会に出品。4年間のフランス留学を経て帰国し、英仏語による交渉力、インターナショナルなネットワークを武器に、美術館向け展覧会のプロデューサーとして50本以上の国際展を日本および海外で企画する。
企画した主な展覧会:モディリアーニ展、ユトリロ展、フジタ展、マチス展、ブラック展、ミロ展、ルオー展、クールベ展、シスレー展、ルドン展、ボナール展、デュフィ展、ラファエル前派展、ビアズリー展、スコットランド・ナショナルギャラリー展、ロー・コレクション西洋絵画の500年展、ヴェネツィア派展、アンディ・ウォーホル&ロイ・リキテンスタイン展、ホックニー展、キース・ヘリング展、ロバート・メイプルソープ展など
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