今回は、ゴヤをとりあげます。
折りしも、《ゴヤの名画と優しい泥棒》という映画が絶賛公開中ですね。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーで実際に起きたゴヤの名画盗難事件を描いた映画です。
その名画とはゴヤがイギリスの英雄を描いた《ウエリントン公爵》。
一昨年に東京、大阪で開催されたロンドン・ナショナル・ギャラリー展でご覧になった方も多いのではないでしょうか。
ゴヤはベラスケスと並ぶスペインの二大巨匠のひとりです。
しかし、ベラスケスとは作風も生き方も全く異なります。
ベラスケスは23歳という若さで宮廷画家になり、スペイン国王フェリペ4世の恩寵を受け、安定した宮廷人として一生を終えました。
一方ゴヤは、10年以上もタペストリー工場の下絵描きをやったあと、苦労の末、40歳になってやっと宮廷画家になりました。
ところが、40代半ばで謎の熱病に冒され聴力を失います。そのあと、彼の代表作となる《裸のマハ》、《着衣のマハ》を描きます。
ほどなくナポレオンの侵攻とそれに続くスペイン独立戦争が起こり、戦争の悲惨さを目の当たりにします。その経験から《戦争の惨禍》という版画集にも取り組みます。
70歳を過ぎてから、マドリード郊外に購入した通称『聾者の家』にひきもこり、その家の壁に、誰に見せるためでもない《黒い絵》と呼ばれる謎に満ちた14枚の壁画を描きます。これらの絵の真の意図はいまだに解明されていません。晩年には自由主義者への弾圧を避けるため、フランスヘの亡命を余儀なくされ、ボルドーで波乱にみちた82歳の生涯を閉じました。
この入門講座でごいっしょに、ゴヤの絵画の謎、人生の謎を巡る旅をしてみませんか!
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