9月27日(日)に最終回を迎えるTBSテレビ日曜劇場『半沢直樹』。はたして1000倍返しはなるんでしょうか?
ま、なるんでしょうね! とはいえ、どんな展開になるのか楽しみです。
ところで、9月17日に発売された小説の方の最新作《半沢直樹 アルルカンと道化師》の「アルルカンと道化師」については、一昨日のブログ「池井戸潤氏の最新作《半沢直樹 アルルカンと道化師》をアート的(絵画作品的)にイメージしてみました」で美術史的な観点からキャラクターとイメージ(絵柄)を探ってみました。
その最新作の帯がアート好き、絵画好きにとってはなんとも刺激的です!
《探偵半沢、絵画の謎に挑む。》
そうなんです!半沢直樹シリーズ最新作は、われらが半沢直樹が「絵画の謎」に挑む、いわゆるアートミステリー小説仕立てになっています!
いやあ、絵画好きにとってはあの大人気シリーズの主人公がとうとう絵画の道に踏み込んでくれた!と感慨もひとしおですね。
もちろん、話の本スジはあくまでも経済小説。バンカー半沢がアート・ディーラーになったりするわけではありません。でも、でも、なかなか巧みにこの本筋にアート・ミステリーが絡んでいて、アート大好き、絵画大好きな読者にも十分読ませる内容と筋立てになっています。さすが池井戸潤氏、アートミステリーとしてもはずさないですね。
アートミステリー小説というとだいたいが贋作絡みで、その裏には「嫉妬」とか「恨み」とかとんでもない情念がからまっていたりして、ちょっと毒毒しい結末になりがちですよね。
でも、さすがこの小説は「基本は性善説」の半沢直樹だけあって、アートミステリー部分もなかなかさわやかな読後感になっています。おすすめです。
「模倣」「剽窃」「贋作」「嫉妬」「名誉」「お金」「コレクター心理」などのアートミステリーにありがちな要素が絡んでどうしようもなくいやな結末になりそうなところを、納得の解決策が示されて爽やかな読後感です。すばらしい!
蛇足ですが、私のアートミステリー・ランキングはこんな感じです。《半沢直樹 アルルカンと道化師》は番外敢闘賞で3位タイでしょうか。
1.マルセル 高樹のぶ子
2.楽園のカンヴァス 原田マハ
3.名画狩り(Masterpiece) トマス・ホーヴィング 田中靖 訳
1位はなんと言っても芥川賞作家の情景描写と人物造形のうまさと読みやすさがダントツです。
2位は力作。面白いですね。
3位は作者が元メトロポリタン美術館の館長だけあって、アメリカの巨大美術館におけるトラスティー(理事会)の財力と権力の描写にリアリティがあります。なんとなくセレブな主人公たちのハーレクインロマン的な恋愛描写もいいかな。
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