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池井戸潤氏の最新作《半沢直樹 アルルカンと道化師》をアート的(絵画作品的)にイメージしてみました。

《アルルカンと道化師》をアート的「絵画作品的)にいろいろイメージしてみました。

9月27日(日)に最終回を迎えるTBSテレビ日曜劇場『半沢直樹』。役者さんたちの顔芸と怒声がすごくて肝心のストーリーがどうでもよくなりそうな嫌いがないでもないけど、やっぱり見てしまいますね!

前回のシリーズが放送されたのはいつだったかネットで検索したら、なんと2013年7月から9月なんですね!

「もう7年も前なのか・・・」としばし感慨に浸っていたら、原作者池井戸潤氏のシリーズ最新作発売の広告が目に飛び込んできました。9月17日発売とありますから、わずか1週間前の出来事です。タイトルは『半沢直樹 アルルカンと道化師』

《アルルカンと道化師》って、アート好きにはやりすごせないタイトルですね!

私がまず思い浮かべたのはピカソの「青の時代」や「バラ色の時代」に多く描かれたアルルカンの絵です。それからセザンヌが息子のポールをモデルにして描いたアルルカンのヴァリエーション作品(ヴァリアント)、赤と黒の菱形模様の衣装が印象に残っています。

ピカソ

《座るアルルカン》1901年 メトロポリタン美術館

《曲芸師と若いアルルカン》1905年 バーンズ財団

《座るアルルカン》1923年 バーゼル美術館

《アルルカン姿のパウロ》1924年 パリ、ピカソ美術館

《花束を持つピエロに扮したパウロ》 ポーラ美術館

 

セザンヌ

ポール・セザンヌ
アルルカン
1889 – 1890
ワシントン、ナショナル・ギャラリー

ポール・セザンヌ
アルルカン
1888 – 1890
プライベート・コレクション

ポール・セザンヌ
アルルカン
1888 – 1890年
ポーラ美術館

 

それから9月21日にオンライン入門講座をやったばかりなので記憶に新しいのですが、パウル・クレーにも《橋の上のアルルカン》という作品がありました。

パウル・クレー
橋の上のアルルカン
1920
Neue Nationalgalerie、ベルリン

 

アルルカンを描いた画家はもっとたくさんいたと思ったけど・・・意外に思い出せません。う〜ん、ワトーの《ピエロ》という作品があった!「悲しげな道化」として有名だけど、残念ながらあれはアルルカンじゃない。

ワトー
ピエロ(旧称ジル)
1718 – 1719年頃
ルーヴル美術館

 

ところで、アルルカンと道化師ってどう違うのでしょうか?

日本だと、たぶん、道化師=ピエロですよね。

じつは、アルルカンピエロも、16世紀の北イタリアではじまった即興喜劇の登場人物の名前です。喜劇の登場人物なのでどちらも広い意味では道化と言えますが、服装と性格が違うようです。

まず、アルルカンですが、これはフランス語です(Arlequin)。もとのイタリア即興喜劇(コンメディア・デラルテ Commedia dell’arte) の役柄名はアルレッキーノ(Arlecchino)。

菱形模様のついた衣裳で、軽薄で、抜け目なく、利にさとい性格ですが、意外に人気者として登場します。一種のトリックスターですね。オリジナルの姿では仮面をつけて、杖のような棒をもって他の登場人物をたたいたりします。英語ではハーレクイン(harlequin)、あのハーレクイン・ロマンはここから名付けられているそうです。どんな関係なんだろう?

ピエロ(Pierrot)もフランスでの役柄名です。イタリア即興喜劇ではペドリーノ(Pedorino)ですが、それがフランスではフランス名のピエール(Pierre)になり、その愛称としてピエロになりました。白い仮面、白い衣装で登場し、徹底してバカにされいじめられる役柄です。アルルカンのように機転がきかず、繊細なキャラクターでとにかく観客を笑わせる役どころです。

ということで、セザンヌにも《ピエロとアルルカン》を描いた絵がありますね。

マルディ・グラ(ピエロとアルルカン)
1888年
プーシキン美術館

 

日本人の感覚ではピエロ=道化師ですから、池井戸潤氏の《半沢直樹 アルルカンと道化師》のイメージはこんな感じなのかも知れません。

そう言えば、アンドレ・ドランにも《アルルカンとピエロ》という作品があります。

アンドレ・ドラン
アルルカンとピエロ
1924年頃
オランジュリー美術館

 

昨年9月から今年1月まで横浜美術館で開催されていた《ルノワールとパリに恋した12人の画家たち展》の出展作品でしたから覚えている方もいらしゃるかも知れません。ドランがマティスらとともにフォーヴの旗手として活躍しキュービスムを経て古典に回帰していた頃の作品なので写実的でわかりやすい絵でが、二人の道化師が醸し出す独特の雰囲気が印象的です。

もしかしたら、池井戸潤氏の話題作《半沢直樹 アルルカンと道化師》のイメージはこのセザンヌとドランの絵が元になっているのかも知れませんね。

そんなわけで、《半沢直樹 アルルカンと道化師》をさっそく読んでみました。

すごく面白かったです!

どこが面白かったって? 一番面白かったのはこの小説がアート・ミステリー的な要素がたっぷりだったことですね。

そのお話はまたちかいうちに。

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