新シリーズ《日本洋画の俊英たち》の第4回では、大正から昭和初期にかけて活躍した岸田劉生(1891 – 1929)を取り上げます。
岸田劉生と言えば、誰しも思い浮かべるのが《麗子像》ではないでしょうか。愛らしい少女像でありながら、どこか不気味な雰囲気も漂わせる不思議な作品です。
その岸田劉生の最大の特長は、黒田清輝以降、フランス近代美術の後を追い続けてきた日本洋画の流れにひとり敢然と棹をさし、純粋に自らの感覚と思考により導き出した「細密描写による写実」によって、日本人のオリジナルな油彩画を編み出したその独自性にあります。
38歳という若さで亡くなった劉生ですが、旺盛な制作活動の一方、数多くの文章も残しています。「内なる美」、「卑近の美」、「でろり」などのキーワードを紐解きながら鑑賞を進めていきましょう。
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